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ずっと寂しかったんだ

221231 CIX 2nd WORLD TOUR Save me,Kill me IN SEOUL 2日目の話

私がソウルコン2日目レポをちまちま書いている間に、ヨンヒさんとスンフンさんのビョンゴンさんの誕生日が過ぎ日本ツアーが発表されました。本当にめでたい.....そして私はもうちょっと急いでほしい......

ということで2日目の話です!

前回ブログとは違いしっかりセトリに触れます。ネタバレを踏みたくない方はお気をつけて!

・開演前

・ライブレポ(セトリネタバレあり)

・終演後、その他

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開演前

2日目は2階指定席だったので、ゆっくりと会場に向かうことができた。とはいえ、初日よりも開演が2時間早まっているのでぐだぐだしている時間もない。ヨンヒさんがプメでおすすめしていたトンカツを食べたり(別ブログで書きます)1人でプリクラを撮ったり(別ブログで書きます)と、事前に調べていたおかげで限られた時間ながらも楽しめたように思う。


昨日と同じ窓口でチケットを受け取り、そのまま奥のブースで紙のリストバンドを巻いてもらう。昨日の学びを早速活かせた。取るに足りない学びだが、こういうことでも「自分って捨てたもんじゃないのでは」と思えるのでちゃんと書き残しておきたい。


会場に入る前に荷物をまとめていると、韓国ピクスから写真撮ってくれませんか〜と声をかけられた。もちろん快諾。撮った流れで、壁面前でスローガンと一緒に撮ってもらえた。嬉しい。そのままお礼をして立ち去ろうとしたらペンライトを並べて撮ろうと言われ、言われるがまま撮った。なんだか分からないがこれも嬉しかった。ありがとうございました。

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名前も知らない、顔も思い出せないピクスとの写真

2階席からの眺めに不安もあったが、それも杞憂だった。驚く程に見晴らしが良い。この場所からもう一度CIXさんのライブを観るという事実にそわそわした。

しばらくすると、VCRが映し出された。昨日よりもさらに大きな歓声が上がる。始まってしまう、と思った。始まった瞬間、終わりがあることに気付いて名残惜しくなる。私はコンサートを見る度、そんな考えがよぎる。そしてそんな考えがよぎる度、今を楽しむのみだろうがと心の中で自分に喝を入れる。

モニタが動き、黒の衣装を身に纏ったCIXさんが現れる。昨日は途中から見えたが、今日はモニタが開いた瞬間から見ることができた。5人が横一列に並んだ時のシルエットはとてもバランスが良く、美しい。

今から2時間30分。どうにか目に焼き付けてくれ、覚えていてくれと自分に祈った。

 

*ここからセトリ含んだ話をします。日本公演のためにセトリを見たくない方はここを押して飛ばしていただければ!

 

 

 

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ライブレポ(セトリネタバレあり)

約4ヶ月続くこととなる本ツアーは、"Numb"で幕を開けた。炭酸水を開けるあの音が、会場の空気を瞬時に構築する。初のカムバックでリリースした"Numb。気付けばツアーを磐石に進めるに相応しい曲になっていた。CIXさんの歩みがこの曲を育てていったのだろう。

休むことなく披露されたのは"Young"。コンサートでは様々な曲を組み込むことになるが、"Young"は不思議とどんなセットリストにも馴染む。今回オープニングで着ていた衣装はミニアルバム4集の雰囲気とはまた違ったものだが、これはこれで似合うので"Young"は凄い。

3曲目"Imagine"は個人的にずっと聴きたかった曲なので嬉しかった。この曲はスタンドマイクで歌うため、彼らの細やかな表情や衣装のディティールまで私の目に鮮明に映る。CIXの楽曲は全員の声質を存分に活かせるものばかりだが、中でも"Imagine"との親和性は高い。ラスサビ前のスーパーペジニョンタイム(と勝手に呼んでいる)は圧巻で、花道に飛び出す5人の姿はきらきらと輝いていた。


終始穏やかなメントを挟み、暗がりの中ダンサーの方々とメンバーがそれぞれ定位置に着く。この瞬間、"Jungle"が始まることを察した客席が息を飲む。この曲の持つ重厚感や荘厳さに、CIXは負けない。"Jungle"は彼らの楽曲の中でもかなりハードな振付だと思うのだが、疲れは見せずに品すら感じさせた。

年々深みを増す"What You Wanted"、静かに燃えたぎる"458"と続き、この衣装最後のパフォーマンスは"Bad  Dream"。初日は上手く見えなかった部分もあったが、2日目はじっくり味わうことができた。ソロパートとともに1人ずつ舞台に現れる構成はミュージカル的でもあり、個の魅力とグループで揃った時の強靭さを一層際立たせる。ちなみに正規1集からセトリ入りした曲は2曲。ツアータイトル『Save me, Kill me』を忠実に表現しようとしていることが窺える。

 


ここからは5人が準備したソロステージの時間。それぞれ10秒ほどの個人VCRが映り、1人ずつステージに上がる。

モニタが動き、最初に現れたのはスンフンさん。学生服のような衣装を着て、2日目はたんぽぼの綿毛のような帽子を被っていた。DAY6の"Time of our life"を、キーボードを演奏しながら歌い上げる。突き抜ける痛快な歌声とともに花道を歩いたりダンサーの方と踊ったりと、縦横無尽に駆け回るその姿はヒーローのようだった。

VCRを挟み、ヨンヒさんが舞台に上がる。カバーステージはハヒョンサン"3108"。スタンドマイクに手を添え、ヨンヒさんは丁寧に歌を紡いでいく。ヨンヒさんの声は温かくもありながらどこか涼しげで、ステンドグラスに日が差したような届き方をする。

続いて現れたヒョンソクちゃんは、それまでの空気を一変させる。Sam Tinnesz"Play with fire"のダンスパフォーマンスでは実の妹ヒョナちゃんが振付に入ってくれたそう。彼女のインスタを見るとそれがよく分かる。ヒョンソクちゃんのダンスが未熟だと思ったことは無いが、このステージで彼が成長し続けていることを実感した。

白くふわふわとした帽子に黄緑のニット、白いハーフパンツで現れたビョンゴンさんは自作曲"째깍째깍"を初披露。この曲が本当に良いので、どうにか音源化をお願いしたい。ビョンゴンさんの情の深さ、愛らしさが溢れるパフォーマンスだった。

ソロステージのトリはペジニョンさん。Grizzly"Beige coat"に合わせ、ベージュをコートを羽織って登場。時折はにかむ姿も見せながら、ペジニョンさんは会場全体を穏やかに見つめて歌っていた。透明で少しざらついたペジニョンさんの声には、ノスタルジックな感触がある。私はこれからも彼の声に心奪われることだろう。

 

白いシャツとオープニングの黒いパンツに着替えたCIXさんが戻ってくる。メントの時間は花道をみんなで歩いたり今年最後だからと1人ずつバニバニ(ヒョンソクちゃん考案の愛嬌)をしたりと、ゆったりとした時間ながらもピクスに喜んでもらおうという気持ちが伝わった。

温かな空気そのまま、"Conffesion"、"Maybe I"へ。"Conffesion"は前述した正規1集からセトリ入りした1曲。"Maybe I"は曲調に反して不安に駆られる繊細な心が歌われている。ソロステージでも触れたが、とにかくCIXさんの歌声は良い。個人としてももちろん素晴らしいのだが、5人の声が合わさった時の格別の響きといったらない。音を浴びるといった表現がライブの感想などで用いられることがあるが、この2曲では音が染み込む感覚があった。

 

半透明のスクリーンの先で、衣装を着替えたCIXさんが次の曲の準備をするのが見えた。彼らの手には包帯が巻かれている。"Revival"だ。にわかに会場が沸き立つ。これまでのキャリアで、日本語の曲が韓国で披露されたのは初めてではないだろうか。曲とパフォーマンスの美しさに思わずため息が出る。CIXの日本オリジナル曲は日本のFIXから愛されているが、韓国でもここまで支持されているのかと驚いた。

"Revival"からそのまま披露されたのは"Bend the Rules"。2022年8月にリリースされたミニアルバムの4曲の中で、唯一これまでパフォーマンスされていなかった曲だ。1日目は正直「凄い」ということしか分からないまま呆気に取られていたので、2日目は見逃さないようじっと目を凝らす。振付はデビュー曲からお世話になっているヨンジュン先生のチーム。絵画のような造形を成す序盤から緩急のあるサビ、ストイックに畳み掛ける終盤と、どれを取っても5人が踊る姿をイメージして作ってくださったのだろうと思えるものだった。そしてこの理想的な振付と曲を、自分たちの持ち物にして進んでいくCIXさんは頼もしい。"Bend the Rules"はもともと好きでよく聴いていたが、この2日間ですっかり惚れ込んでしまった。

 

メントの後は"Without You"。疾走感や歌詞の悲痛さが、熱を帯びて直に届く。全員の力が重なる〈I'm nothing,nothing,nothing,eh/Without you,eh,Without you,eh,〉パートは鬼気迫るものがあった。

舞台や花道を歩きながら歌うのは"Change me"。この曲が入ってくるとは思いもよらなかったので嬉しい誤算。2番終わりのラップパートを歌いながら踊るように花道を歩くビョンゴンくん、そしてその後ろをご機嫌に続く4人がとても良かった。

 

本編最後のステージは"Rewind"と"Movie star"。

"Rewind"という曲には、湿度と仄暗さが伴う。しかし、この2日間には横で待機している間音に乗ったり、互いにアイコンタクトをしたり、客席を見てニヤリと笑う彼らの姿があった。もちろんこの作品が持つ質感は保たれているのだが、作品から外れた場所にある個人の感情が一瞬顔を覗かせる。今日この時間を、CIXさんも楽しめていることが嬉しかった。

"Movie Star"は2019年7月にリリースされた曲だが、3年以上経っても錆びつく気配がない。とんでもない曲でデビューしたんだなと改めて思う。これまでもこれからも、"Movie Star"は人の目に触れる度に新しく光る。それが叶うのは、彼らが自分自身とCIXを磨き続けているからではないだろうか。 

 

アンコールでは5人お揃いのパーカーで登場。2日目はシーズングリーティングの時のパーカーだった。スンフンさんは両日とも白い尻尾をつけていて、2日目はソロステージで使ったふわふわの帽子も被っていたのでいよいよ大型犬という感じだった。

アンコール1曲目は"Cinema"。ブログやTwitterで散々書いているのだが、"Cinema"はいつ聴いてもいつ観ても、どんな状態の私であろうと心に近い場所で鳴ってくれる。ずっと聴いていたい曲が大好きなアイドルから届けられている、こんなに幸せなことがあるだろうか。欲を言えば今後どこかで一度本編セットリストに組み込んでみてほしいのだが、アンコールで〈우리의 순간은 아마 영원이 될 거야〉が響く良さも捨てきれないのでないものねだりというものである。

花道で歌うのは、柔らかい中毒性を持つ"Round 2"。この曲ばかりずっと聴いていた時期があったことを思い出す。ずっとイヤホンから鳴っていた曲がコンサート会場いっぱいに響いているのは不思議な感覚だった。音の重ね方やコーラスの多さ、不協和音のバランスから察するに、"Round 2"は5人の声を信用して作られた曲なのだろう。

ステージに戻って歌うのは"Drown in Luv"。韓国語タイトルが"여름바다(夏の海)"というところ込みで好きな曲だ。スンフンくんがいつかやりたいと言っていたバンドセットのコンサートができた時には、必ず歌ってほしいなと思う。2023年かその先かは分からないが、その時のCIXさんはもっとかっこよくなっているはずだ。

最後の曲"The One"のイントロが鳴る。デビューショーケースで"The One"が披露された時、私はこんなことを言っていた。

早く単コンのアンコールでツアーT着て歌ってほしい 私には見える 単コンまだかな

その後すぐに日本のショーケースでもやってくれたが、映画のエンドロールのようなこの曲をいつかツアーで聴きたいと思っていたのだ。そして3年とちょっとした後、ワールドツアーのアンコールで"The One"を歌う姿を私は目撃することができた。当時の私に、すぐにでは無いけれど、夢に見た景色は観れるよと言ってあげたい。そしてその景色を観た今、本当に幸せだとも。

 

全ての曲が終わり、「今年も沢山愛してくれてありがとう」「年末に来てくれてありがとう」「来年もたくさん会おうね」「みんな今から帰って歌謡祭とか観るの?」とCIXさんはそれぞれ言いたいことを口々に伝える。名残惜しそうに手を振る5人に、どうか幸せでと私も手を振り返した。

 

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終演後、その他

スタッフさんが退場してくださ〜いと叫んでいるのが遠くから聞こえた。よろよろと立ち上がり、荷物を取って会場を出る。12月の夜は冷えるはずなのに、ここだけまだ空気が火照っているようだった。会場の外にはまだ沢山のFIXがいる。今日を終わらせるにはまだ惜しいのだろう。私はもらった紙スローガンとペンライトを掲げて数枚写真を撮り、会場を後にした。

地下鉄のホームで電車を待っていると、ホームゲートに自分の姿が映っているのに気付いた。見上げると、ハングルで駅の名前が書かれている。

CIXさんに出会っていなければ、私は今日ここにはいなかっただろう。ややこしい申請をしてまで年末に1人韓国に渡ろうなど考えもしなかっただろう。韓国に着いた時、やっと私は私を望む場所に連れて行けるようになったんだと思った。その時の思いが間違っているとは言わないが、全てではない。他の誰でもないCIXさんが、私をここまで連れ出してくれたのだ。

 

ビョンゴンくんおすすめの油そばを食べてから、宿舎に戻る。ソウルの街にはNew jeansの"Ditto"が流れていて、街の重力が徐々に小さくなっていく感覚があった。浮かれていた私はコンビニで炭酸飲料やアイスを買い込み、外の景色を見ながらすべて平らげた。日付を跨いで少しした後、同部屋の方がハッピーニューイヤーと言いながらパイナップルケーキをくれた。今日の夜台湾から来たそうだ。私はお返しにきのこの山たけのこの里を渡した。わずかに重なった時間を、私は今でも覚えている。

 

実のところ当初は、よっぽど苦手な系統でもない限りCIXさんが歌う曲はなんでも良いと思っていた。もっと言うと、どんなメンバーがいるか、どんなコンセプトかといったところもそこまで気にならなかった。アイドルのペジニョンさんをもう一度観られるのなら他に何も望むまい、そう思っていたからだ。そう思っていたというのに、今私は読むのにある程度の時間を要する文字数のライブレポを書いている。愛着を差し引いても好きな曲が、気付けばこんなにも増えていたのだ。曲だけではない。どうしようもなく大好きなアイドルが5人もいる人生になるとは、思いもよらなかった。

私は、未だに不思議な気持ちになる。ペジニョンさんを応援するという選択をしただけだというのに、想像もできないような宝物をもらい続けている。いつもいつも、もらいすぎているなと思う。

 

どちらの日で言っていたのかは忘れてしまったが、スンフンくんがこれからやりたいことの話をしていた。ユニット曲(ユニットステージだったかも)をやりたい、ファンミーティングをやりたいと。本編レポでも書いたが、過去にはバンドセットでコンサートをやりたいとも言っていた。スンフンくんだけでなくCIXさんがやりたいことや望むことは全部叶ってほしい。私が叶えるよとは言いたくないから、叶ってほしいとしか言えないのがもどかしい。私はこんなにも観たい景色を見せてもらって、夢を現実に映し出してもらっているのだ。彼らの願いが叶わなきゃ嘘だろと思う。

 

1日目、ペジニョンさんが「僕たちよくやってる、でももっとできると思う」と言った。叱責したり嘆いたりしているわけではなく、ただ訥々とそう言った。自分たちのことは肯定したうえで、まだやれるはずだという考えに至る。つまりペジニョンさんは、CIXを一切諦めていないのだ。応援しているアイドルがこのスタンスでいてくれることは非常に心強い。しかしこの考え方には、人を前に進ませる希望があると同時に途方も無い道が用意されてしまう。期待と不安ともどかしさがないまぜになった"何か"を連れて進むことになる。そうなると、彼らが安心できる時はいつなのだろうか。私は安心が幸福と直結している人間なので、そんなことを考えてしまう。

それでも、きっと彼らはこの道を選ぶのだろう。日々形を変えながら付き纏う"何か"をあやしながら、5人は5人のペースで進んでいくのだろう。

 

隊を成して、彼らは進む。その姿はいつだって眩しい。光を湛えて走る過程で、少しだけでももどかしさを置き去りにできていたら良い。

 

 

4月、CIXさんは日本にやってくる。前に進む彼らの現在を、また見たい。